梯剛之ピアノ・リサイタル
東京オペラシティ コンサートホールにて、ピアニスト梯 剛之のリサイタルがありました。
エリーゼのために WoO.59
遅刻。聞き逃す。
終わったところで桟敷席に滑り込む。狭い。
7つのバガテル op.33
梯、場内が静かになるのを待つ。
…弾き始める。あふれ出す濃厚な音。痺れるような重低音。変わらない。梯の本質は何年経っても変わらない。まるで濃厚なワインを椀子そばのように注がれ続けているような、めくるめく音の嵐。これこそ梯だ。
ピアノ・ソナタ第23番 ヘ短調 op.57「熱情」
爆発するフォルテシモ。もはや轟々たる雷鳴。
第2楽章でも重々しさは変わらない。濃厚。ひたすらに濃厚。途中から少し甘やかさが加わったか?
間髪入れず第3楽章に移行。斬馬刀で切り刻まれるような激しさと力強さ。
万雷の拍手。
ピアノ・ソナタ第31番 変イ長調 op.110
今日一番の優しいタッチで始まるが、やがてお得意の豪音。再び優しいタッチ。入れ替わり、立ち替わり。
最終楽章。優しく暗く甘い。これが晩年のベートーヴェン。ショパンを思わせるロマン性。
万雷の拍手。万雷の拍手。
アンコール
まずは月光ソナタ第1楽章。暗く甘い。暗く甘い。大変に美味しい。
万雷の拍手に包まれて、再びアンコール。
ピアノ・ソナタ第7番より第3楽章・メヌエット。
穏やかな軽やかな。花園で遊ぶような。
梯、弾き終わってピアノの蓋を「きぃー、ぱたん」。
終了。
振り返って
数年ぶりに梯さんのライブを聴きましたが、やはり凄いの一言。音質が他のピアニストと一線を画します。
ただし音があまりに濃厚なので、連続して聴くのはちょっと疲れるかなーという面もあります。
CDで聴くくらいがちょうどいいのかも知れません。何枚か出ているので、試してみてはいかがでしょうか。
…絶版CDに高値がついていますね!びっくり。